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以前、シネポ様が「異色の経歴の女優」として挙げていた浅見美那。あれ以来、彼女のことが気になっていました。しかもそれ以前に「映画の友」で彼女を認識していただけに余計に意識してしまいました。 そこで先日、彼女のロマンポルノデビュー作である「ポルノ女優志願」を見ました。
中々面白い構成になっていました。 浅見美那演じる霧子はコールガールをしている、と言っても「暗い」感じは全くなく、のほほんとしたお人好しな女性という設定。一方共演の美野真琴演じるさなえはアパートの隣部屋の住人で、浅見美那とは高校の同級生ということになっている。こちらの方は女優を目指しているのだが、オーディションに落ち続けていてしかもかなりのワガママ娘という設定だ。
コールガール霧子の「お人好し」度はかなりのもので、 @お客でない男とトラブルになっても金を見せられたら簡単に相手をしてしまう。 Aお客がマジメな男で(この男をマジメ君と呼ぶことにする)お金が足りなくてもホテルに行ってしまう。 Bマジメ君とのHがうまくいかなかったら別れ際に「次は会社を通さずに安くしてあげる」と電話番号(携帯じゃないよ、アパートの共同電話)を教える。 Cさなえに「彼氏と別れるから、別れる材料として彼氏を誘惑して」と頼まれてなんだかんだ言いながらもOKする。しかもその彼氏というのは霧子の元カレだった。 Dマジメ君に「ビデオのモデルになって欲しい」と言われノコノコとついていく。 Eそのビデオというのは裏ビデオで、初めは嫌がって逃げ出すのだが、マジメ君に懇願されてあっさり出演することになる、等々・・・。
ストーリーとしては・・・ 霧子はコールガールをしながら裏ビデオにも出演していた(というよりも裏ビデオ出演の方がメインになってしまった)。ある日、さなえがポルノ映画のオーディションを受けに行く際に霧子も一緒に撮影所に付いていった(オーディションには参加しない)。オーディションは監督が参加者を気に入らずに全員が不合格となってしまった。監督は主演女優が決まらず困っていたが、撮影所の片隅で昼寝をしている霧子を見つけて声をかけたところ、あれよあれよという間に映画出演が決まってしまった。 霧子のポルノ女優出演が大々的に報じられた。これに対して裏ビデオ制作者は「これで裏ビデオが売れる」と大喜び。 また、スキャンダルを扱う雑誌もこれに飛びついた。撮影所にその雑誌記者が入ってきて食事中の霧子にニヤニヤしながら声をかける。「君ってすごいね・・・」と言いながら裏ビデオを見せる。記者としては何かを期待したのだろうが霧子は全く動じない。スタッフに呼び出され顔色ひとつ変えずに撮影に向かう。
映画の撮影が始まった。監督が一つ一つ指示を出しながらカラミのシーンを撮っていく・・・。そしてエンディングとなる。
面白いと思ったのがスキャンダルの扱い。例えば誰でも知っているような女優とかだったら「裏ビデオに出演していた」というのなら大スキャンダルとなるのですが、ポルノ女優(しかも新人)が裏ビデオに出ていたくらいならスキャンダルになりようがない。そりゃ擬似S○Xと本○との差はあるけど、そんな事を気にするのはほんの一部の人間だけです。 とは言え、実は私も以前は「そんな事を気にする」人間でした(笑)。20年以上前のことですが、あるピンク映画の女優さんが別名でAVに出演しているのを見たことがあるのですが、ちょっとだけショックがあってそれをある掲示板に書き込んだのです。ところが多くの人から「そんな事くらいで・・・」と一蹴されてしまいました。それ以来、そういった話には触れなくなりました。
あと、ラストの「映画の撮影シーン」が見所ですね。「映画ってこうやって撮っていくんだ・・・」ということで勉強になりました。ネット上の書き込みで、このシーンの監督役があの西村昭五郎という情報もあったのですが、私は西村監督の顔を知らない(映画の友を探してみたが確認できなかった)ので真偽の程はわかりません。わかる人がいたら教えてほしいです。
そして、肝心な浅見美那ですが、見た目は美女タイプと可愛いタイプの中間くらい。どちらでもいけるという感じですが、圧倒的に美人とか可愛いとまではいかないかな。 演技力は可もなく不可もなくといったところ。上手いか下手かの二択だったら「上手い」方に一票です。それまで色々と「人に見られる」仕事をしてきた訳ですから、これで下手だったらその後の仕事はないでしょう。 ただ、カラミの表情を見ていると「ちょっと作りすぎかな?」という感じがしました。さすがにカラミはこれが初めてなのですから「慣れていない」という事なのでしょう。
一つ、気がついた事があります。CINEPO.comの「ポルノ女優志願」の説明やその他ネット上のこの映画の説明の中で浅見美那の年齢が22歳になっていました。しかしながらウィキペディアによると彼女は1958年12月の生まれとなっており、この映画は1983年製作なので、ウィキペディアの情報が正しいとするとこの時彼女は24歳ということになります。 でも、こういう事ってよくあることですよね。24歳だと20代半ばになるけど、22歳だと20代前半ということなのでそのあたりを日活が考えたのかなと思います。
「映画の友」では「ポルノ女優志願」に関する記事で以下のようなことが書いてありました、抜粋します。
****************************************************************************** 女優になったのは さなえではなく霧子のほうだった ただし 裏ビデオ・・・・ 「ヨーイ スタート」 セーラー服の霧子のレイプシーンだ 性優たこ八の巨大なモノが霧子の肉ヒダへ挿入される 思わず顔をしかめる霧子 奥深く分けいる男根 霧子は本気で感じた 自らたこ八の腰にまとわりついた ビデオカメラは二人の結合部分をどアップでとらえてる たこ八は射精して霧子から離れた 「よしッ 霧ちゃん 思いっきり大股開きしてくれ」 霧子は精一杯股を開き 力を抜いた 白い液がピンクの亀裂から流れ出した ***************************************************************************** (現文まま)
後半の部分はロマンポルノとしては表情がしづらいのでさすがにこれはないと思いました。 それでも「裏ビデオの撮影シーンとは言え、NHKに出ていたお姉さんがレイプされる・・・」ということでかなりの期待を持ってこの作品を見たのですが・・・・。 実際のシーンは全然違っていました。
現場は枯れ草の生い茂った草むら。霧子がセーラー服を着せられて2人の男に拘束されている。そこに男優が加わって(2人の男は離れる)撮影開始、男優は霧子を襲おうとするが霧子は男優を突き飛ばして逃げる。 ここでマジメ君が後を追う、草むらの中を逃げる霧子。マジメ君が霧子を捕まえる。 この流れだとここからレイプになりそうなものだが、そうはならない。マジメ君が霧子に懇願する「頼むからビデオに出てくれ、そうでないとオレ・・・」「騙したんだね・・・・。いいよ、やってやるよ」と霧子。ホントにお人好しだ。 そして裏ビデオの撮影が始まる。初めは痛がってた霧子だったが、それを解消したのが何と卵白。マジメ君が卵白を霧子のあそこに塗りたくり潤いをつける・・・。 その後、撮影は順調に進んだ。
ということで、レイプシーンは全くなくて普通のカラミでした。グラビアでは浅見美那が顔を顰めているのがあったのでレイプシーンだと信じ切っていたのですが、あれは「痛がっている」シーンだったようです。
全く「映画の友」に騙されてしまいました(笑)。 でも、撮影現場に同行できる映画の友(近代映画社)が「何で、実際と違うことを記事として載せたのだろうか?」という疑問が湧いてきました。撮影現場にいればレイプシーンでないことは一目瞭然でわかるはずです、それなのにどうしてこんなことが起こるのか?・・・・。このことで4〜5日ほど私の中で不満が燻っていました。
それがある日、私の頭の中で解決しました。多分、こういう事です。 映画の友(近代映画社)だけが自由に撮影現場に入ることが出来て、常にとは言えないまでも現場をカメラに収めることが出来たのはここの掲示板で説明されてきた通りなのですが、よくよく考えてみれば彼らと言えども四六時中現場に詰めることはできないはずです。現場で取材する他にも編集作業などをやらなければなりません。 では、取材できなかった映画作品はどうやって本に載せるかということですが、その分は日活から提供された現場写真・プレスシート・台本などを元に記事にしていたのではないかと想像できます。 映画の友としては日活から提供されたものですからそれを信じて記事にせざるを得ないでしょう。「ポルノ女優志願」の場合、現場写真で浅見美那が顔を顰めているのがあればレイプシーンのものだろうと思ってしまうのも無理はありません。仮に内容に変更等があっても試写が終わってからでは記事の書き換えも難しいでしょうからこういう事になってしまうのでしょうね。 日活が発行するプレスシートでさえ出来上がった作品との違いがあるのですから、外部業者である「映画の友」の記事に間違いがあっても不思議なことではないのです。
今、思い出すと学生時代にも同じような事は何回もありました。「映画の友」であらかじめ映画の内容を知った上で映画館に行くのですが、記事に載っていたようなシーンが全然なかったということが何回もあるのです。「あれ?、変だな」と思いながら帰ってくるのですが、「何でこのシーンがないのだろう?」と思ったことはありませんでした。当時は「深く考える」ということができなかったのですね。
あと、エンディングのクレジットの中に私と同じ名前の人を発見しました、字は違いますが読みは同じです。私の名前は名字・名とも当たり前すぎるくらい当たり前なのでいくらでも見つけることが出来るのですが、それでも妙な感じです(笑)。
長文、失礼しました。 |