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作家の宇能鴻一郎さんが、さる8月28日、心不全で亡くなられました。享年90歳。
ご存知の通り、宇能鴻一郎先生は芥川賞を受賞された純文学のホープという方だったのですが、1970年頃から官能小説を書き始められ、1973年の『女ざかり』で主人公女性の一人称で自分の性体験を語っていくというモノローグ風の文体を確立、大人気ベストセラー作家になられました。 そこに目を付けたのが、同じように1971年に一般映画から官能映画の世界へ転向した日活さん。早速その73年にあっという間に宇能先生の小説を原作とした『ためいき』を発表し大ヒット、そして2作目の「わななき」も同じく大ヒットとなります。 ここにきて日活は、「宇能鴻一郎」という名前はとてつもない商売に繋がると、3作目の『宇能鴻一郎の濡れて立つ』から先生のお名前を冠としてタイトルに付けるようになっていきます。その後はもう連発連発。20作以上も製作されました。
確かにロマンポルノと先生の作品との相性は抜群でしたね。美しい主演女優さんがまるで、観客の耳元に息を吹きかけるようにモノローグで、「わたしエッチなんです」「わたし濡れちゃいました」なんて台詞を囁きかけるんですから、もうたまったもんじゃなかったでしょうね、当時のお客様には。 そして看板シリーズでもありましたし、こんな綺麗な人が「わたし感じるんです」なんて言うのが良いわけですから、期待の新人さんの登竜門的な面もありました。宇能先生作品から巣立っていったスター女優さんが何人もいらっしゃいました。
実際、ロマンポルノ終焉後の90年代以降も、映画館側は特集上映をよく組みましたし、何度も何度も繰り返し上映されている作品でありながらもお客さんはよく入りましたね。 まさに、ドル箱シリーズでしたよ。
予算的なこともあったのか、日活と先生の間に何かお約束みたいなのがあったのかは不明ですが、先生の作品は他社のピンク映画では見ることが出来ない、ロマンポルノの独占だったというのも大きかったのかもしれません。
宇能鴻一郎先生、今後も先生の作品はスクリーンで輝き続けるでしょう。 人生のクランクアップ、ほんとうにお疲れ様でした。ありがとうございました。 |
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